山梨観光でアクセス簡単!日本三大奇橋「猿橋」の美しく奇妙な伝説

「猿の架け橋!?」

掛川の深く美しい渓谷に架かる名勝 猿橋。
「錦帯橋」、「木曽の浅」とともに日本三大奇橋に選ばれ、長さ30.9m、幅3.3m、高さ31mのその姿は橋脚を全く使わずに、鋭くそびえ立つ両岸から張り出した四層の補強材によって支えられている。

猿橋を支える四層のはね木
猿橋を支える四層のはね木

猿橋の珍しい構造の起源は定かではないが、推古天皇の時代(西暦600年頃)、百済からやって来た造園博士の志羅呼(シラコ)が、深い渓谷に何度も阻まれてきた橋の建築を引き受けた。
彼はいろいろな方法を試みたがうまくいかず諦めかけたところ、沢山の猿が繋がり合って対岸へ渡っていく姿からこの橋の構造を思いつき、ついに掛川渓谷には橋がかかったという。
猿橋の名前の由来もこの伝説からつけられたそうだ。
ちなみにこの猿たちの伝説を彷彿とさせるイメージが現在の橋の欄干のデザインにみることが出来る。

猿橋の欄干
猿橋の欄干に描かれた猿の架け橋

記録によると、聖護院の旅日記『廻国雑記』に猿橋の記述があるため、500年前には確かに存在していたことがわかっている。

「文人たちも愛した猿橋の渓谷美」

猿橋から眺める掛川の渓谷美
猿橋から眺める掛川の渓谷美

四季折々に変化する美しい渓谷に架かる奇橋の景観は、江戸幕府により五街道の一つとして整備された甲州街道きっての名勝とうたわれ、多くの文人・墨客が訪れた。
中でも歌川広重は、非常に感動し『甲陽猿橋之図』を描いている。

現在の猿橋は昭和59年に、嘉永4年(1851)の資料をもとに忠実に復元されたはh氏である。明治以降になると、猿橋を挟んで次々と新しい橋が架かり、険しくも美しい景観とともに歴史ある橋を一挙に眺めることができる。

歌川(安藤)広重浮世絵『甲陽猿橋之図

歌川(安藤)広重浮世絵『甲陽猿橋之図』
歌川(安藤)広重浮世絵『甲陽猿橋之図』

天保2年(1842)に刊行された広重画『甲陽猿橋之図』は、甲府道祖神祭の幕絵の制作のために甲府に赴く途中で立ち寄った猿橋の景観を数枚のスケッチと自身の記憶を頼りに構成した非常に大きな作品である。
「言語に絶えたり、拙筆に写し難し」とまで言わせた猿橋の錦絵は、広重の作品の中でも最高傑作との声があるほどだ。

八ツ沢発電所一号水路橋

八ツ沢発電所一号水路橋
猿橋から眺める八ツ沢発電所一号水路橋

名勝 猿橋から望むもうひとつの物語

明治45年に建設された八ツ沢発電所に送水するために造られた水路橋。
鉄筋コンクリート製で、橋の両水門には駒橋の発電施設と同様の赤レンガが使用されている。
素材の特徴を活かした非常に斬新なデザインは、渓谷の美しさに溶け込んでいる。

猿橋へのアクセス情報

お車で:中央自動車道大月ICより15分、国道20号「新猿橋西」信号を左折
電車で:JR中央本線猿橋駅下車 徒歩15分
中央高速バスで:猿橋バス停下車 徒歩10分